バレエの舞台映像とAIの可能性

ライムライトの仕事部屋
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今回は、先週音声配信でもお話しした、来月に控えたバレエ公演で、僕が挑戦する新しい映像の試みについて紹介させていただきます。音声配信をお聴きの方はすでにご存知の内容になりますが、今後ブログでもこの挑戦の進捗を紹介していきたいので、ブログ読者にも共有させてください。

音声配信ですでにお聴きの方も、音声では紹介しきれない、作成中の画像や動画に関してもブログで紹介していこうと思いますので、お楽しみに。

舞踊作家協会30周年記念公演

11月1日、江東区のティアラこうとうにて、舞踊作家協会の30周年記念公演が開催されます。この協会は、クラシック、モダン、ジャズ、日本舞踊など、様々なジャンルの踊り手が集う場所です。今回、僕の父が振り付けた完全オリジナル作品「鷹の泉 2024 -獏の青-」が上演されることになり、僕も舞台映像の制作・上映で携わることになりました。

「鷹の泉 2024 -獏の青-」のあらすじ
争いの絶えない現代に生きる青年が、青い光に導かれて美しい鷹に出会う。鷹の美しさに魅了された青年は、鷹を追い、やがて神秘的な泉にたどり着く。絶望的な状況で愛を求める青年の物語。

映像制作への新たなアプローチ

今回の公演のために、僕が制作する映像は主に3つあります。砂漠の風景、主人公を導く青い光、そして幻想的な青い泉です。これまでは、ストックフッテージ*を使用したり、CGを駆使したりして制作していましたが、今回は新たな挑戦として、全ての映像をAIで制作することにしました

ストックフッテージとは、あらかじめ撮影された映像素材のことで、専門の配信サイトから購入して使用するものだよ。例えば、砂漠の風景なら、数十秒単位の映像をいくつか購入し、それらを自然につなぎ合わせて長い尺の映像を作り上げるといった具合。

AIでの動画作成を選んだ理由はいくつかあります。まず、今回の踊りのテーマが抽象的でファンタジックなため、現実には存在しない、しかしリアリティのある映像が作品に合うと考えました。また、踊りの長さに合わせて映像の尺を自由に調整できる点も魅力です。もちろん、僕自身がAIを使った動画制作に慣れたいという思いもあります。

制作のプロセス

制作の流れとしては、以下の順番になります。

  1. 画像生成AIで静止画のイメージを複数作成
  2. 静止画の中から動画にする静止画を選定
  3. 選定した静止画をもとに動画生成AIで動画を作成

画像生成AIで作成した「砂漠」と「青い泉」の静止画イメージを紹介するよ。
なかなかのクオリティでしょ。

鷹の視点で見る広大な砂漠
神秘的な青い泉

AIと創造性について

クリエイティブの現場にAIを持ち込むことに対して、否定的な意見があることは承知しています。代表的な意見として「AIにクリエイティブをさせたら創作の喜びそのものが失われるのではないか」というものがあります。

しかし、僕自身はそうは感じていません。これは表現の種類によって、AIとの向き合い方が変わってくるからだと思います。

例えば、ミュージシャンの場合を考えてみます。自ら楽器を演奏し、音楽を作り上げていく人にとっては、その過程をAIに代替されてしまうと、音楽を作る喜びが失われてしまうかもしれません。その気持ちはよく分かります。

一方で、映像ディレクターである僕にとっては、AIは新しい道具の一つに過ぎません。映像制作は本来、カメラマンや役者、CGデザイナーなど、多くの人々との協働で成り立つものです。僕一人で全てを作り上げることもできますが、それでは良くも悪くも僕が一人で作れる範疇の作品しかできません

ディレクターの仕事は、基本的な設計図を描き、「ああしてほしい、こうしてほしい」と指示を出すこと、出来上がったものを判断し、調整していくのが役割です。その対象にAIが加わっただけで、僕の創造性が奪われたとは感じないのです。

むしろ、AIの登場により、これまで技術的な制約で実現できなかったアイデアが形になる可能性が広がり、新しい表現の地平が開けたと感じています。

まとめ

ここまで大々的に「全ての映像をAIで作ります!」なんて言っておいて、11月1日の本番で、ひょっとしたら従来通りのストックフッテージが流れている可能性もゼロではありません。初めての挑戦ですから、うまくいくのかどうか、まだ全然わかりません。

それでも、この過程自体が僕にとってはかけがえのない経験になっています。AIと格闘しながら、父の作品をどう表現するか考え、新しい可能性を探る。それ自体が、もう十分に刺激的で価値があるんです。

皆さんにも、この新しい挑戦の行方を見守っていただければ嬉しいです。成功するかもしれないし、失敗するかもしれない。でも、きっと面白いものが生まれるはずです。今後も進捗をお伝えしていきますので、ぜひご期待ください。

そして11月1日の公演を見に来てくださる方は、舞台裏でAIと格闘した僕の姿を想像しながら、楽しんでいただければと思います。

この挑戦についてのご意見やご感想、知りたいことなどがあれば、コメント欄でお待ちしています!!


■公演情報

舞踊作家協会連続公演第237回 30周年記念公演
  • 開催日:2024年11月1日(金)開演時間19時00分(開場18時30分)
  • 場所:会場ティアラこうとう 小ホール
  • 料金(全席自由):一般 3,000円  友の会 2,700円  江東区民 2,800円

舞踊作家協会の公演情報およびチケットのご購入はコチラ

 


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