バレエに限らず、習い事の教室を立ち上げようとした時に、一番最初に立ち塞がる問題が「どこで教えるか」だと思います。
僕の住んでいる東京都心は地価が値上がりをしていて、場所を借りようにも広さと賃金のバランスが良い物件を見つけることがなかなかできません。
このあたりのことは過去記事「コロナ禍を経たバレエ業界の変化」にも書きましたが、良い物件を探すために運営者とは縁もゆかりもない土地で教室をはじめるケースも多く、その結果地域との繋がりを作るのが難しく、それが集客にも響いてきます。
今日はそんな方々に、「課外教室としての習い事」を紹介しようと思います。
保育施設や幼稚園を借りてレッスンをする
僕の両親のバレエスクールは荻窪に本部を置いていますが、それとは別に練馬にある幼稚園の課外教室として支部を開いています。練馬ひかり幼稚園という名前の場所で、元々は母がここの先生と知り合いだったことから、ここに教室を持つことになりました。
場所代や使用時間などは各保育施設・幼稚園や市区町村によっても違うと思いますので、その点は予めご了承いただきたいのですが、それでも教室をご自身ではじめるための選択肢のひとつして参考になる情報だと思いますので、メリット・デメリットを両方踏まえてご紹介します。
場所代
通常レンタルスタジオを借りる場合は借りる時間に対して費用がかかってきますが、幼稚園で課外教室を行う場合、費用は生徒の月謝に対しての割合となっています。割合の比率は教室によって20%のところもあれば50%のところもあって異なりますし、レンタルスタジオ同様、時間に対してかかるところもあるので、詳細は個別に問い合わせが必要です。
時間に対して費用がかかる場合は、1ヶ月ごとの収入がスタジオのレンタル費を下回ってしまうと赤字になってしまいますが、生徒の月謝に対してのパーセンテージになると、例え生徒が一人でも赤字になることはないので、はじめて教室を持つ経営者にとっては嬉しい条件と言えるでしょう。
逆に言うと生徒数が増えてきた場合は、そのぶん貸主に対して支払う額が増えるのがデメリットと言えます。
赤字にならないというのは、あくまで場所代だけの話で、交通費や光熱費などの諸経費は別途かかるので、その点は考慮しないといけないよ。
時間帯
幼稚園の課外教室ですから、もちろん幼稚園が終わった後にはじめることになります。ひかり幼稚園の場合は、15時から一番小さい子のクラスが始まります。終わりの時間は市区町村によってバラツキがあり、17時くらいまでと定められているところもあるようです。もっと多くの時間帯を使いたい場合は、貸主と交渉していく必要があります。
集客
幼稚園の課外教室ですから、当然その園に通う子供たちがそのまま生徒になってくれます。幼稚園から安定的に生徒を集めることが期待できるので、これは習い事をはじめる経営者にとって集客面で非常に大きなメリットになると言えます。幼稚園の生徒以外の、その地域に住んでいる子供たちも参加できるので、課外教室で生徒を育てることは地域との繋がりを作るきっかけにもなります。
幼稚園を卒園する年齢になったら、教室には通えなくなるの?
そんなことはない。ひかり教室の場合、中学1年生までが生徒として通っていて、そのほとんどがひかり幼稚園の卒園児たちだよ。
集客面でのデメリットは大々的に広告を打てないことです。あくまで幼稚園の事業の一環として位置付けられており、営利目的で行っていることが前面に出てしまうと、園が保護者に案内している市区町村からの補助金の対象外になってしまうので、ポータルサイトを利用した大々的な広告を打つことなどは難しいです。
ひかり教室の場合、園内で生徒募集のチラシを配布したり、執行バレエスクールのホームページで紹介するのはOKとなっている。
環境
幼稚園の教室やホールなどを使うことになるので、習い事にとって最適な環境が用意されているわけではない。バレエの場合は、鏡やバーが置かれていないケースがほとんど。これは課外教室を行う場合のデメリットと言える。
ひかり教室の場合は貸主さんのご厚意でバーを取り付けてもらっている。鏡はこちらで費用を負担して大鏡をひとつ取り付けてもらった。もちろん母と幼稚園との関係性があってのことだけど、費用をこちらで負担する場合は貸主にとってもメリットになるので、交渉の余地はある。
課外教室を利用する場合の注意点
上にあげたこと以外の注意点としては、やはり課外教室を卒業した子供たちの次の行き先となる出口をどう用意するかです。先ほど、ひかり教室では中学1年生までの生徒を受け入れていると書きましたが、これはそれ以上の年齢になった生徒には鏡やバーが整った環境でレッスンを提供する必要があると言う、スクール側の判断で年齢に制限を課しています。そこからレッスンを継続したい生徒は荻窪本部でレッスンを受けてもらうことになります。
これは一方で、ある程度生徒の見込みを作った上で出口となる別の教室を探すことができるとも言え、また、生徒が課外教室を卒業するまでの間に経営体制を整える時間的猶予も生まれるので、別の場所で時間割のレンタルスタジオを探す際の心理的な障壁は、そこでゼロから生徒を集めるよりも遥かに低くなります。
まとめ
以上、課外教室で習い事をはじめる場合のメリット・デメリットをひかり教室を例にしてご紹介しました。
ご興味をお持ちの方は、まずは市区町村の保育課を調べてください。その地域の保育園や幼稚園の情報にアクセスすることが出来ます。
ご参考までに執行バレエスクールのひかり教室のリンクを貼っておきます。レッスン風景の写真が掲載されているので、どんな空間でレッスンが行われているのかが分かります。
最後までお読みいただき、有難うございます!
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