アフター5が勤務時間の特殊な子育て事情

ライムライトの仕事部屋
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先週は年明けの配信早々に、音声配信をお休みして失礼ました。

じつは先週13日の月曜日に、昔からお世話になっていた伯父が亡くなりまして、お通夜や告別式が先週末にかけて執り行われた関係で、配信を収録することができませんでした。

今回亡くなった伯父は、母方の4人兄弟の長男で、僕と妻の結婚式で祝辞をお願いしたり、最近では僕が企画したスタジオアルマの「ラヤの夢」のクラウドファンディングに多額の寄付をしてくれたりと、本当に昔からお世話になっていた人物です。

僕のブログでは、父方の家族についてはバレエ教室の創設者でもあるので、何度も紹介してきましたら、母方の家族についてはあまり紹介してきませんでした。

もし母方の家族のサポートがなければ、両親がバレエ教室を切り盛りしながら子育てをしていくことは非常に難しかったと思うので、今回は「教室運営における仕事と子育ての両立」という観点から、僕の幼少期を振り返って見たいと思います。

教室運営者にとってアフター5は勤務時間

まず、一般的な家庭とバレエ教室の大きな違いは、勤務形態にあります。

朝の9時頃から働いて夕方6時頃に退社、というのが一般的な会社員の働き方だと思います。

僕も制作会社で会社員をしていたことがあるので、残業が多くて定時には帰れない人もたくさんいることは重々承知していますが、そのことはいったん脇におかせていただき、僕がここで言いたいのは通常会社員の仕事が終わる、アフター5、アフター6という時間帯は、多くの習い事教室にとって、勤務時間のど真ん中である、ということです。

子供向けのクラスはもっと早い時間から始まっていますが、大人向けクラスは、仕事終わりの6時以降がメインの時間帯になります。

ですから、サラリーマン世帯が夕飯を用意したり、家族で食べる時間に、うちの母親はレッスンをしているということがよくありました。そのため、食事は母が予め作っておいてくれたものを温めて食べるか、週に何回か来てくれるお手伝いさんが用意したものを食べていました。

また、母は荻窪本部教室の他にも、支部へ教えに行っていたので、そういった日は僕は荻窪の実家から車で30分ほどのところにある、母方の実家に預けられていました。そこに母方の祖父母と前述した伯父夫婦が住んでいて、僕や7つ下の妹もお世話になっていました。

わざわざ母方の実家に預けなくても、父方のおじいさんやおばあさんが一緒に住んでいたんじゃないの?

もちろん父方の祖父母にもお世話になりましたが、ここがバレエ教室の特殊なところで、母と父方の祖母の関係は、教室では「弟子」と「先生」の関係でもあり、さらに祖父母が在命時は経営者でもあり、ただの「嫁、姑」の関係以上に気軽に何かを頼むのが難しい状況だったと思います。

子供の頃は「執行のウチはお手伝いさんが来るなんて金持ちだな」なんて言われたけど、さすがに「先生」に毎日冷凍食品を出すわけにはいかない、という母の特殊事情もあったと思う。

江古田のおじいちゃん、おばあちゃん

母方の実家は板橋区の江古田にあり、毎週1-2回は「江古田のおじいちゃんの家」に預けられていました。

母方の家族は父方と違い、しっかりと会社勤めをしている家で、母は4人兄弟のうちただ一人の娘ということもあり、とても大切に育てられてきました。また、母方の家族で最初に結婚したのが母、そして最初に生まれた子供が僕だったので、僕も非常に可愛がってもらいました。

僕にとって「江古田のおじいちゃんの家」は、常に人が行き来しているバレエ教室と違い、落ち着いた雰囲気と高級そうな家具に包まれた「大人の空間」でした。

教室を運営しながら子育てをするということ

さて、少年時代から年月は過ぎ去り、僕は妻と結婚し、息子ができました。

現在は両親共に健在で、妻はバレエの先生として両親の教室で生徒たちを教えています。

妻もまた夕方に稽古があったり、支部に教えに行くことがあります。妻の実家は石川県金沢にあり、気軽に子育てを頼める距離にはありません。

一方で両親の時代と違うところは、夫である僕の仕事が異なり、ほとんど自宅で行われていることです。映像ディレクター・プロデューサーの仕事は、撮影以外、企画や編集など、自宅で行える作業です。

ですから、学校の送り迎えや宿題、食事の提供、お風呂から寝かしつけまで、子育ての多くは僕が担当しています。もちろん、妻もレッスンのない時は食事を用意してくれたり、洗濯物を畳んだり、できることは協力してくれます。レッスンのある時はお惣菜を買ってくるか、以前紹介した宅配食か、僕が作るかの3択になります。

また、母にとって自分の実家に子供を預けやすかったように、僕と両親はあくまで「親子」の関係なので、撮影や打ち合わせなどで息子の面倒を見られない時に、両親や妹(息子にとっての叔母)に息子の面倒をお願いすることも比較的容易です。

僕たち夫婦にとって、働き方が違うというのはとても大きくて、ダンサー同士で結婚した夫婦の子育ては、子育てのためにどちらかが仕事を休む=キャリアを低下させたり、収入の減少につながる可能性があり、ここが難しいところだと思います。

また、日本における離婚したひとり親家庭の相対的貧困率はじつに50.8%(2019年内閣共同参画局)と、約半分は貧困に陥っており、社会人に比べて収入が安定しないダンサーにとって死活問題になりかねません。

これは俳優業など、人前に出る仕事全般に言えることかもしれませんが、とくにスポーツ選手やダンサーなど、身体が資本の職業は、子育てのブランクがキャリアの低下に繋がりやすく、現役を続けながら子育てをするには夫婦以外の親戚のサポートや、一時保育などソーシャルサービスの利用が重要になってくると思います。

特に地方から出てきて都心部で活躍されている方は、近隣のお付き合いなどもあまりなく、こういった方々が働きやすい環境を考えることは、教室経営者も考えなければいけないことだと思います。

まとめ

バレエ教室における仕事と子育ての両立は、一般的な会社勤めとは異なる独自の課題を抱えています。

僕自身の経験から、それは決して一人では解決できない問題であり、家族や地域のサポート、そして適切なソーシャルサービスの活用が不可欠だと実感しています。

祖父母の時代は隣近隣のサポートがあったと思います。母の時代は実家のサポート、現代では共働き夫婦における適切なバランス設計や、ソーシャルサービスの利用。

時代や社会が変り、サポートの担い手は変わっても、「サポートの重要性」は変わりません。

また、バレエ教室を運営することになる立場として、ダンサーや講師たちが安心してキャリアを継続できる環境づくりは、自分たちの課題でもあります。

女性が中心のバレエ教室という職場においては、「抜けやすく、戻りやすい」柔軟な組織づくりが大切になってくると思います。

このブログを読んでくださった方々、とくに同じように仕事と子育ての両立に悩む方々にとって、僕の経験が何かのヒントになれば幸いです。

皆さんのご意見や体験談も、ぜひ聞かせてください!

 


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