最近僕が取り組んでいることと言えばスタジオアルマの舞台「ラヤの夢」の配信映像の編集作業です。
いよいよ9月1日(金)の深夜0時から配信がはじまります。
9月1日(金)の深夜0時から配信開始ということは実質的に明日の23:59までに完成しないと
いけないんだけど、今日もまだ追い込み作業中。
そこで、今日と明日の配信は「ラヤの夢」を内側と外側から解説していこうと思います。
本日のブログでは「ラヤの夢」の脚本について、そして映像配信を開始した当日の朝7時から舞台と配信映像の違いについて音声配信で紹介しようと思います。
小泉憲央によるオリジナル脚本「ラヤの夢」
脚本の話をする前に「ラヤの夢」のあらすじをご紹介します。スタジオアルマのFacebookに載っているものをもう少しかみ砕いて以下に記します。
仕立て屋の娘ラヤは見慣れない箱の中から一着の美しいドレスを見つける。それは子供の頃に憧れた、流れ星サーカス団の歌姫、サラが着ていた衣装だった。ドレスを受け取りに来た、不思議な道化師にラヤは言う。「私もサーカスに入れてくれない?本当は私、歌が歌いたいの。」 ラヤはサーカス団を探す旅に出る。なぞの浮浪者や物売りの女性、そして動物たちと出会い、ラヤは夢を追いかける。流れ星サーカス団をめぐる希望の物語。
ご存知の方もいると思いますが、スタジオアルマ代表で「ラヤの夢」の脚本を手がけた小泉憲央は僕の高校時代からの友人です。ですから、彼がどんなものに影響を受けてきたのかはよく分かっています。
そこで、僕なりに「ラヤの夢」に影響を与えている作品を考えてみました。
「天井桟敷の人々」
「ラヤの夢」に登場する不思議なピエロ。ドレスを受け取りに来たピエロは流れ星サーカス団の一員のようにも見えますが、物語の行く末を暗示する、心の中の存在のようでもあります。
このピエロの元になったのは、1945年公開の映画「天井桟敷の人々」の道化役を演じる、ジャン・ルイ・バローだと思われます。
コチラの映像の1分19秒あたりにジャン・ルイ・バロー演じる道化が出てきます。「天井桟敷の人々」は道化、俳優、悪人、貴族の4人の男性に愛される一人の女性を描いた作品です。この女性は、どの男性のものにもなりません。ナチスドイツ占領下のフランスにおいて、多くのユダヤ人が制作に関わった大作で、何者にも屈しない、自由を愛する精神を高らかに歌い上げた名作です。
この中で道化の青年は最も純粋で真っ直ぐな精神の持ち主として登場します。
「道」
フェデリコ・フェリーニ監督による1954年の映画「道」です。F.フェリーニ監督はご自身が子供時代からサーカス小屋に対する憧れが強く「道」以外の作品にもサーカスが度々登場します。その中でも「道」を選んだのは、本作はサーカスの中身を描く作品ではなく、サーカス巡業の道程で起こる人生模様を描いた作品だからです。また、この作品に登場するザンパノという怪力男は旅の途中で妻と離れ離れになり、大きな損失を抱えます。「ラヤの夢」の中にも、損失と回復が大きなテーマになるシーンがあります。
パンダ・コパンダ 雨降りサーカス団の巻
監督 高畑勲、脚本・画面構成 宮崎駿の1973年公開の短編アニメーション「パンダコパンダ 雨降りサーカス団の巻」です。小泉自身が直接、この作品に影響を受けたというより、ジブリ作品が描く動物と人間の関わりや、ヒロインのキャラクター像など全般に影響を受けていると思います。中でも本作はサーカスや動物が登場するので、「サーカスがどういうものか」というイメージをキャスト陣と共有するために参照しました。ラヤの押しの強い性格はパンダコパンダのヒロイン、ミミちゃんのようでもありますし、仕立て屋で生計を立てているところは「ハウルの動く城」のヒロイン、ソフィーのようでもあります。
ソフィーは仕立て屋ではなく、帽子屋だけどね。ソフィーは親の代から受け継ぐ帽子屋を抜けて、ハウルやマルクル、荒地の魔女、犬のヒンなど、赤の他人と家族を作る。そういった家族(運命共同体)の作り方もサーカス団っぽい気がする。
まとめ
この他に、小泉憲央の師匠である故 西田堯先生は日本の動物漫画の原点、「鳥獣戯画」を元に作品を作られていたと記憶しています。もしかすると間接的な影響があるかもしれません。
さて、ジャンルは違えどいずれ劣らぬ名作ばかりご紹介しましたが、そんな名作の影響を受けた「ラヤの夢」が面白いかどうかは、ぜひ皆さんがご自身の目で確かめていただきたいと思います。
僕はコチラの音声配信で感想を話した通り、とても面白かったよ。
映像の配信チケットは下記のサイトで既に販売が始まっております。ご興味を持たれた方はぜひご覧ください。
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