最近の僕の活動に関して、説明します -1-

ライムライトの仕事部屋
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一昨日、執行バレエスクールの発表会が無事終了しました。

いつもと違う会場でしたが、先生や生徒、スタッフが一丸となって作り上げた発表会は、たくさんの笑顔を見ることができる素敵なイベントになりました。

さて、毎年発表会の撮影は僕の先輩であり、仲間であり、メンターでもある人物が石垣島から来て、手伝ってもらっています。

ここまで書くとこの人物のことが気になってしまうよね。でもそれは今日の本題ではないので、別の機会に紹介するよ。

この人物と僕の妻、つまり僕が最も信頼を置いている二人から最近の僕の活動に関する意見をもらったので、今日はそのことについて書きます。どんな意見かというと、「バレエに関するブログや音声配信をしているライムライトのコンテンツで、スタジオアルマのクラファン企画をなぜやっているのかが分かりにくい」です。

これには首を2,30回縦に振っている人たちもいるのではないでしょうか?

考えてみると、「主宰の小泉憲央は高校の同級生だから」とか「イベントの収益化する方法を知りたい」などの説明はあくまで僕の個人的なモチベーションであって、このブログでそれを紹介する理由にはなっていませんでした。

そこには僕が考えるバレエ教室の課題と、その課題にどう取り組んでいくかが関わってくるので、今回は課題と対策の紹介をして、次回のブログでそれがスタジオアルマとどう関わってくるのかを解説していこうと思います。

バレエ教室の課題と対策を整理してみた

まず、バレエ教室を運営していく上で、僕の考える課題とやりたいことを以下に整理します。

 今後の課題
  • バレエ人口の高齢化
  • カリキュラムの多様化
  • エリート教育とエクササイズの両立
  • 座学としてのバレエ教育不足
やりたいこと
  • 理にかなった高齢者向けカリキュラム作り
  • 受け皿の教育と地域ネットワーク作り
  • 競争と平等を両立させたクラス編成
  • ブログのライブラリ化と講習会の実施

スマホだと縦に並んじゃって分かりにくいと思うけど、上から順に課題とやりたいことが対応しているよ。

過去記事でも紹介した通り、日本社会全体もバレエ業界も高齢化が進んでいます。そこで必要なのはプロを育てるためのバレエ教育のほかに、エクササイズとしてのバレエの研究です。バレエレッスンの中から高齢者のQOL*向上に資する理にかなったカリキュラムの研究を推進する必要があると考えます。

これは街のバレエ教室だけで解決できる問題ではなくて、バレエ業界全体の課題として取り組むべき問題。僕にできることは最新の情報収集と同じ問題意識を持った人のネットワークを広げていくこと。たとえば医療関係者など、異業種との接続も必要になってくる。

*Quality of Life=「生命の質」高齢者の身体的な苦痛の軽減、精神的、社会的活動を含めた総合的な活力、生きがい、満足度を指す。

また、通常の高齢化とは別の文脈で、子供のバレエに参加する年齢についても考えてみたいと思います。プロのバレエダンサーを育てるためには幼少の頃から長い時間をかけて技術を研鑽し、身体作りをしていく必要があるため、バレエ教室は3〜4歳頃からクラスがあり、少なくとも小学校低学年の頃に始めるのが最適とされています。

スタジオアルマの寺前 幸胡(てらまえ こうこ)ちゃんは小学校5年生で踊りを始めました。

バレエの世界では「遅い」とされる年齢です。そんな彼女は「言われたことをやるのは出来なければ聞けば良いけど、自分で踊りを考えるのが一番難しい」と話しています。「正しい技術を教えること」にフォーカスし過ぎてしまうと、「自分で考えること」がおろそかになってしまうのではないでしょうか?

また、幸胡ちゃんのお母さんは「役者やダンサーになってほしいとかじゃなくて、人として魅力的な人間に育って欲しい」とおっしゃっています。バレエ教室に子供を通わせている親御さんの中にも、プロを育てたい、という方もいれば、プロになれなくてもバレエを通して人間的な成長をして欲しいと願う親御さんも少なからずいるはずです。

幼児期のみならず、技術的な発達がもっとも顕著な小学校高学年から踊りを始める子供にはどのような目標を設定していくべきなのか。お子さんの成長や目標に合わせたカリキュラムをどう組んでいくべきか。もしかしたらこのような課題は、バレエ教室単体で解決しようとするよりも、さまざまな表現との接点が必要なのかもしれません。

お子さんの中にはバレエは難しくても、他のジャンルであれば能力が発揮できる子がいます。バレエ教室の教師もまた「表現」に対する見識を深め、お子さんの成長や特性に合わせた助言ができるようになる必要があります。

バレエの「型」以外の表現を知る機会を提供することで生徒自身の選択肢を増やし、小さい頃から自分に合った表現は何かを自分で考える力を養うことも大切。表現の選択肢が多いことは、まわりまわってバレエの可能性を広げることにもつながるんじゃないかな。

そのためには他ジャンルの踊りの教室との交流を深めたり、その地域にある教室同士の連携も必要です。また、教室同士の情報の共有は助教師の安定雇用にもつながると考えています。

これは各教室ごとのやり方や人間関係もあるから、僕が今すぐ何かできるわけではないけど…。

一方で、プロを目指す子供たちは、いずれ厳しい競争社会にぶち当たります。そのために、教室は「平等」一辺倒ではなく「競争」を取り入れることも必要です。技術的、条件的に優れた生徒には、教室側から声をかけるような選抜システムも必要かもしれません。もちろん、誘いを受けるかどうかは生徒さん次第です。

誰もが分け隔てなく踊りを楽しむ世界から厳しい競争社会への入り口は、こちらが先に肩を叩くけど、そこに入るかどうかは生徒さん次第。選抜教育で頑張る生徒の姿を可視化することで、下の世代の更なる成長を促すこともできる。

また、海外のバレエ学校と違い、週1,2回習いに来るバレエ教室の生徒たちに座学を定期的に教えるのは難しいので、バレエの成り立ちに興味を持った生徒がアクセスできるライブライリのようなシステム(「ライムライトの図書館」もその一環)や、期間限定の講習会などもあると良いと思います。

まとめ

浄土宗の開祖、法然は平安末期、源氏との争いで混乱が続く社会にあって、それまでの仏教を改革した人物です。

それまでの仏教は、お寺で厳しい修行を経た僧侶だけが極楽浄土に往生できると考えられていたのに対して、「南無阿弥陀仏」を唱えることで誰でも極楽浄土に往生できると考えました。つまり、仏教を一部のエリートから、貧困に喘ぐ大衆に門戸を広げたわけです。

きっと法然上人もこれまで寺が守ってきた厳しい戒律と、一般社会に生きる人々をいかに救済するかという宗教の根源的問題の間で揺れ動き、苦悩したのではないでしょうか?

法然(1133-1212)

僕は法然上人のような立派な人物ではありませんが、バレエ教室に生まれ、バレエ業界の外から来た人間として、バレエが持つロジックと、一般社会が持つロジックをどう繋ぎ合わせて行くのかを常に考え、両者の幸せな関係を模索していくつもりです。

次回は今日述べたような僕の問題意識と、スタジオアルマがどう接続していくのかを説明します。


 


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