バレエの歴史20世紀後半篇の最初にご紹介するのはロシアです。
なぜロシアをはじめに取り扱うかというと、主に二つの理由があります。
ひとつめは第2次大戦後の冷戦構造の中、バレエは西側でも東側でもハイカルチャーとして芸術的地位を維持し、それぞれ発展を遂げたので、20世紀後半の歴史は西側(おもにヨーロッパ・アメリカ)と東側(おもにソ連)に分けた方が説明がしやすいこと。
ふたつ目は東側から西側に多くの有名振付家やダンサーが亡命しまくったので、西側の状況を紹介する前に東側の状況を説明した方がわかりやすいことです。
ロシアの2大バレエ団
まずはソ連時代から現在にいたるまで、ロシアで最も有名なバレエ団といえば、旧都サンクト・ペテルブルクに拠点を置くマリインスキー・バレエ団(ソ連時代はキーロフ・バレエ団)と、首都モスクワを拠点とするボリショイ・バレエ団です。
二つのバレエ団の特徴を難しい技術論を抜きにしてざっくりと押さえると、ロシアバレエの「本流」がマリインスキー・バレエ団、「じゃない方」がボリショイ・バレエ団です。
ボリショイ・バレエ団の関係者から怒りの反論が出てきそうな分け方。くれぐれも優劣の話をしているわけではなく、関西は昆布出汁、関東は鰹出汁くらいの区別をしているだけ。
なぜマリインスキー・バレエ団が本流かと言うと、サンクト・ペテルブルクは1918年のロシア革命まで首都であり、帝政ロシア時代にマリウス・プティパやディアギレフがいたペテルブルク帝室劇場がその前身だからです。
一方のモスクワのボリショイ・バレエ団もその歴史はマリインスキー・バレエ団と同じくらい古く、18世紀に孤児院に設立されたバレエ学校にまで遡ることができます。首都がモスクワに遷都したあとは、洗練された古典作品を扱うマリインスキー・バレエ団にたいして、ボリショイ・バレエ団の特徴は演劇性と高い運動能力に裏打ちされたテクニックが組み合わさった色彩豊かで大胆なものとされています。
ちょっとアクロバティックなくらい足があがったり、いっぱいぐるぐる回ったり、エンタメ性が強い方がボリショイ・バレエ団。上の地図で見ると近そうに見えるけど、二つの街は東京から札幌くらい離れているよ。ちなみに「ボリショイ」は「大きい」という意味で、ペテルブルク帝室劇場がマリインスキー劇場と合体する前の劇場の名前も「ボリショイ劇場」だった。
また、双方のバレエ団はのちに紹介する数々のスターダンサーを輩出しており、ヌレエフ、マカロワ、バリシニコフ、ルジマトフはマリインスキー・バレエ団が出身で、プリセツカヤ、ワシーリエフ、アナニアシヴィリはボリショイ・バレエ団の出身です。
ロシアのスターダンサーたちについては、次のブログ以降で紹介していきます。
東欧にも広がるバレエ
冷戦時、旧ソ連の構成国だった地域のバレエ団を紹介すると、19世紀からの伝統があるウクライナのウクライナ国立バレエ団(旧キエフ・バレエ団)は技術水準も二大バレエ団に次ぐ高さで、先般のロシアによるウクライナ侵攻では多額の義援金が日本から寄せられ、来日公演を行いました。
その他、ウクライナの南に位置するジョージア(グルジア)、ジョージアのさらに南にあるアゼルバイジャン共和国、ウクライナの北に位置するベラルーシにも国立のバレエ団があります。
さらに、旧ソ連の支配的影響下にあった東欧の国々にもバレエは根付いていて、ポーランド、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアにもそれぞれ国立のバレエ団が存在しています。
まとめ
つい「ロシアのバレエ」と一括りに捉えてしまいそうになりますが、ふたつの代表的なバレエ団を比べるだけで特色に違いがあることが分かりました。また、ロシアはクラシックバレエの本場だけあって、今回紹介した二大バレエ団以外にも複数のバレエ団が存在します。
次回は第2次大戦終戦後にまで遡り、ロシアで活躍した振付家を紹介していきます。
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