戦前から続くバレエ教室
今回は両親が営むバレエ教室について紹介させて下さい。
両親が営むバレエ教室は1935年に祖父が開設したものです。日本のバレエ史の中でも、これはかなり早い時期です。生徒さんには親子2代で通われている方や、おばあさんの代から教室に通われている方もいらっしゃいます。いわゆる老舗中の老舗です。
東京の中心部からはやや離れた、かつては文化人の保養地として発展し、今もアニメーションスタジオがたくさんあるような、文化的にかなり成熟している、緑の多いエリアにあります。
スクールの生徒数は190人ほど。父が大人のクラス、母が子供のクラスを担当し、その他に5人の助教師がいます。また、父は振付家として国内外で活躍し、舞踊に関する様々な事業団体の理事などを歴任してきました。
バレエスクールとしてはかなり規模の大きい教室だと思います。
そしてこれから
さて、バレエ教室と全く違う仕事をしてきた僕が、これからどう受け継いで行くのか。
父は来年80歳を迎えます。まだまだ元気ですが、一般的に事業承継には5年〜10年かかると言われているので、急ピッチで進めなければいけません。
行政書士でバレエ教室の運営もされている渡邊一恵さんの著書*によると、バレエ教室を「経営」という視点で考えると、現在は「先生」として一括りになっている役割を以下の3つに分割して考えることができるそうです。
- レベル1:講師
- レベル2:振付や発表会などの舞台製作プロデューサー、事業の運営管理
- レベル3:レベル1〜2を統括する教室経営者
*渡邊一恵 著「2030 INNOVATION 新しい教室経営:」
これを現在および引き継ぎ後の教室運営にあてはめてみると以下のようになります。
レベル1の講師はこれまで父、母、助教師で分担していたものを妻と助教師が受け持ちます。
レベル2の運営管理は妻が生徒や先生の窓口になり、僕が管理します。振付などのアートマネジメントが現在不在で、父のように作品を発表できる人がいません*。ただ、これまでの膨大な作品群があるので、当面はこれらの振りうつしを妻や外部の振付家を招いて行うことになります。今後、振付ができる生徒をどう育てるのかも課題になりそうです。
*補足:バレエ教室に所属する教師の中にはご自身の作品を振付られる方はいらっしゃいます。ここでは教室の作品として振付を外部に発表する仕組みがないという意味です。
レベル3の教室経営は僕が行うことになります。会計・財務・集客・資金調達・人材管理などの業務がありますが、会計士を雇ったり、事業を法人化したりして、業務を分散しつつ、責任の所在を明確化していく必要がありそうです。
ざっくりとまとめましたが、今後この役割分担は家族で相談しながら変更していくかもしれません。
まとめ
これまで、経営の体制についてふれましたが、もうひとつ忘れてはいけないことがあります。
それが「想い」です。祖父はどんな想いでバレエ教室を開いたのか、父はどんな想いで継いだのか。 さらに祖母、母、妻、一緒に働く先生や生徒の想いがそこに加わります。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、この「想い」の継承こそが、教室を他とは違う存在にする鍵だと思っています。
もちろんこのブログも、その「想い」を継承し、伝えるための手段に他なりません。
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