デジタルから紙へとルックバック

ライムライトの仕事部屋
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先日、『チェインソーマン』で有名な藤本タツキさんが原作の映画『ルックバック』を観てきました。

たいてい映画を観ると、その作品のテーマを内面化して、自分の経験と照らし合わせながら色々と考えるのですが、今回は小学1年生の息子のことを考えていました。将来、息子が同調圧力に悩み、まわりと自分を比べて「自分は他の人と違う」と悩んだときに、この映画が心の支えになるのではないかと。

僕は映画を観るまで原作を読んでいなかったので、原作の漫画も買いました。いつか息子がこの物語に触れることができるように。でも、やっとひらがなを読めるようになった息子は、まだ漫画を読む習慣 はありません。

加えて、3年前に引越しした際、仕事部屋が少し狭くなった関係でどうしても手元に置いておきたいモノ以外は、ほとんどのCDやDVD、本は実家の僕の部屋に移動させてしまい、場所を取る漫画や雑誌、情報系の本はほとんどKindleで買うようになって、紙の本もできるだけ近所の図書館で借りるようにしています。

結果として、家に「モノとしての本」が少なくなってしまいました。

余計な誘惑を断ち、仕事部屋として集中できる環境を作ったつもりですが、この状況が、息子が本に触れる機会を減らしているんじゃないかと気づきました。また、僕がスマホやMacで読書することで、親が本を読んでいる姿を見せる機会も減ってしまいました。

今日は映画の感想ではなくて、子供が紙の本に触れることの大切さについて考えてみたいと思います。スマホやタブレットが当たり前の今の時代、紙の本にはどんな価値があるのでしょうか。

視覚情報 vs 文字情報

紙の本の重要性を考える前に、僕の本職である映像メディアと文字情報の違いについて考えてみたいと思います。わが家ではYouTubeなどの動画を見ることに特に制限を設けていません。

息子のアカウントではなく、僕のアカウントで動画を見ているので、僕の視聴しているチャンネルと息子のチャンネルがミックスされてオススメ動画が表示され、少なくても僕の子供時代よりも、時代や国籍を越えた多様な視点や情報に息子は触れていると思います。

その反面、インプットする情報が映像だけになってしまうのは問題もあって、動画は目と耳で情報を受け取るので、本を読むよりも簡単に内容が頭に入ってきます。逆に動画は編集や演出によって、見る人の印象を簡単に操作できます。

例えば、音楽や効果音を使って、ある情報の印象を良く見せたり悪く見せたりできます。特に、メディアの情報をどう受け取るべきか学ぶ機会が少ない環境や年齢では、こういった印象操作の効果がより強くなる可能性があります。

一方、紙の本を読むことには大きな利点があります。研究*によると、スマホやパソコンの画面で読むよりも、紙の本を読む方が内容をより深く理解でき、批判的に考える力も育つそうです。

*Baron, N. S. (2015). “Words Onscreen: The Fate of Reading in a Digital World.”

文章を読むときは、ゆっくり時間をかけて内容を理解し、考える時間が必要です。この過程が、「本当にそうなのかな?」と疑問を持ち、自分で考える力を育てるのに必要なのです。

ただ、やっとひらがなが読めるようになった小学1年生の息子にいきなり文字だらけの本を読ませるのは現実的ではありません。

だから、まずは漫画から始めようと思いました。漫画は映像と本の間くらいに位置していて、絵と文字の両方で読み進めることができます。

どうせ親が押し付けた本は読みたがらないので、息子が興味をもったタイミングで、親の本棚から勝手に選んで読めるようにしたい。

でも、さきほど書いたように、今の我が家には本がほとんどありません。僕は相変わらず漫画も本も読んでいるのですが、Kindleで読んだり図書館で借りたりしているので、本棚にモノとしての本が少ないのです。

これって、大きな問題かもしれません。

バレエ発表会の記録映像から考えるモノとデジタルの違い

デジタル書籍と紙の書籍の違いについて、毎年僕が販売しているバレエ発表会の記録映像を例に、すこし違った角度から考えてみます。

最近、ソニーがBlu-rayディスクの生産をやめると発表しましたが、バレエの発表会映像は、まだDVDやBlu-rayを欲しがる人が多いんです。なぜだと思いますか?

それは、DVDやBlu-rayのディスクは、手に取れる「モノ」だからです。思い出が詰まった「重さのあるもの」として、大切に保管できます。一方、配信映像で見る動画は、ただ踊りを見返すための情報でしかありません。

これについて、メディア研究者の落合陽一さんが面白いことを言っています。

重さのあるものはいつか壊れるけど、重さのないものはいつか忘れられる」 by 落合陽一

この考え方、本の読み方にも当てはまるんじゃないでしょうか。

まとめ

当たり前と言えば当たり前ですが、僕はこれまで、仕事部屋にある本棚を自分のためだけに使ってきました。スペースを有効活用するために、本は縦にして詰め込んでいました。でも、ときどき仕事部屋に忍び込んでいる息子のことを考えると、もう少し工夫が必要かもしれません。

たとえば、面白そうな本の表紙が見えるように平置きするスペースを作ってみるとか。そうすれば、息子の目にも留まりやすくなります。「この本、面白そう!」と思って、自分から手に取るきっかけになるかもしれません。

相変わらずKindleで読む本もありますが、あえて紙の本も増やしていこうと思います。息子が自由に選んで読める本の選択肢を増やすことで、読書への興味を育てられかもしれません。

自分で音声配信をはじめてから、耳の可処分時間がなくなってしまったのでやっていないけど

本を耳で聴く「Audible」にも興味あるので、やったことのある人は感想教えて。

もちろん、子育てに正解はないのでこれでうまくいくかは分かりませんが、子供の読解力を育むために、身近に本を置くこと、そして親が紙の本を読んでいる姿を日常の風景にすることは、親の行動を変えればすぐにできることです。

みなさんの家では、どのように読書環境を整えていますか?

 


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