僕とバレエの距離感 -2-

ライムライトの仕事部屋
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はじめてから1年以上続いている「バレエの歴史シリーズ」。

20世紀のバレエの紹介に入ったあたりから、ときどき個別の作品に対する作品評を書いて欲しいというリクエストをいただくようになりました。

YouTubeなどで見られる作品もあるので、それぞれの作品に対して、僕がどう感じているのかが聞きたいと。歴史よりも芸術論を期待する声です。

ダンサーではなくバレエ教室を運営面でサポートする立場になる僕にそういったお声をいただけること自体は非常に光栄なのですが、「バレエの歴史シリーズ」に関しては、あまり僕の主観的な意見を載せないようにしています。

音声配信では踊りに関する個人的な感想を話しているよ。

「バレエの歴史シリーズ」も終盤にさしかかった今、僕がこのシリーズを書く理由と、僕とバレエの距離感について、みなさんと共有したいと思います。

バレエ教室で教えられない、座学が学べる図書館を作りたい

まず「バレエの歴史シリーズ」はバレエという芸術を扱いながらも、芸術を語るコーナーではなく、あくまで歴史を知るコーナーとして位置付けています。

ここでの使命は、歴史を学んでバレエに対する興味の間口を広めることです。

日本のバレエ教室は民間経営の場所がほとんどで、放課後に週1〜3回ほど通われている生徒さんがほとんどです。そう言ったお子さんにバレエ教室が提供できるのはバレエのレッスンで、座学まで教える時間がとれないのが現状です。

だからこそ、バレエの歴史に興味を持った生徒さんが、1日5-6分で手軽に学べるネット上の図書館を作りたいのです。技術的なことは無理ですが、歴史に関することならバレエ史のみならず同時代の流行や出来事まで踏まえて書くことができます。

僕はこのブログを書くとき、バレエのことをまったく知らない高校生の頃の僕がわかるように書いています。僕がバレエの歴史を学ぶプロセスを読者と共有すれば、一緒に学びながら成長できるのではないかと考えました。

これまでのバレエの歴史書は、僕のような門外漢からすると専門用語や技術解説が多くてとっつきにくく感じました。ですから僕のブログではできるだけ専門用語を使わないように気をつけています。

また、歴史を語る上で僕の個人的な好みや嗜好を反映させてしまうと、内容や情報量に偏りが出てしまうので、作品の説明をする際は僕がこのシリーズを作るにあたり参照させていただいている、海野敏さんの名著『バレエの歴史』から説明文を引用させていただいています。

おそらくこのあたりが、作品評を期待されている方からすると熱の感じられないつまらない文章に感じられてしまうのかもしれません。

しかし、仮に僕がまったく興味を持てない特定の振付家の作品を批判的に書いたり、あるいは取り扱わなかったりしてしまうと、その振付家の作品をきっかけにバレエに興味を持ったかもしれない人の可能性を摘んでしまうことになります。

また、ただでさえ20世紀に入って情報量が増えているので、あまり個別の作品に時間をかけていると全体の流れを見失ってしまう可能性もあります。

正直、1冊の本からこんなにたくさんの情報が出てくるとは、思いもよらなかった。

僕のバレエとの向き合いかた

正直なところ、バレエに興味がなくても本を引用すればバレエの歴史を語ることはできます。

では、執筆している僕の思いはどうなのか。

じつは、バレエの歴史シリーズを書くことは、これまでバレエに興味を持てなかった僕自身の間口を広げたいという思いもあります。

このシリーズで取り上げている作品の中には、すでに舞台で鑑賞したことのあるものもありますが、まだ見たことのない作品もたくさんあり、バレエの歴史の勉強を通じて、魅力的な作品と僕自身が出会えるきっかけを探しています。

両親や妻が情熱を注いできたバレエを僕も好きになりたい、そう思うからこそ探しています。

一方で同じようにバレエを好きになることはできないし、その必要もないとも思っています。

これは自分自身に「踊りたい」という気持ちがないのですから、仕方ありません。

外様には外様の役割があると思っていて、僕の立場では地域で共存できる環境、教師にとって教えに集中できる環境、生徒にとってさまざまな成長が促される環境を整えることが命題です。

妻と共に生まれ育った場所を継承しつつ進化させること。それが僕の作品づくりです。

これまでバレエ教室ができなかったことをサポートしていく。その一環が「バレエの座学が学べる図書館」作りです。

まとめ

僕が「バレエの歴史シリーズ」で自分の感想をなるべく挟まないようにしているのは、決して真剣に向き合っていないからではなく、むしろ真剣に向き合っているからこそ、軽々に語れない思いがあることをご理解いただけましたでしょうか。

「バレエの歴史シリーズ -20世紀後半編-」は次回、日本のバレエについて紹介して一旦お休みしようと思います。入手できる作品はなるべく記事内にリンクを貼るようにしているので、僕も含めこのブログではじめて作品をご覧になる方も、観るだけで相当の時間がかかると思います。

『バレエの世界史』には21世紀のバレエを紹介する章もあるので、今度もこのシリーズでは個別の作品評はせずに、客観的な歴史を高校生でも理解できるように、わかりやすく紹介していくつもりです。

 


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