ブログをはじめた時に読んだ本には、「読者が知りたいのはあなたが書く情報で、あなたに関心があるわけではないので、自分語りはあまり読まれません」と書いてあったのですが、僕のブログは自分の立ち位置をハッキリ書いておかないと、どこからの視点で話している内容なのか、分かりにくいと思うので、今日は僕とバレエの関わりについて書きたいと思います。
一定の距離があった
子供の頃は、たまたま両親がバレエ教室をやっている環境に生まれただけで、バレエにはとくに関心はありませんでした。小学4年生の時に親からお小遣いをもらってバレエのレッスンを受けたことがありましたが、それも長く続かず、両親もそれ以降はバレエを無理に勧めるようなことはなく、ゲームや映画や読書など、好きなことをさせてもらえました。
男性ダンサーの踊りはカッコ良いと思っていたけど、ジャッキー・チェンやマイケル・ジャクソンの方がもっとカッコ良いと思っていた。正直、バレエの舞台を観て心を動かされたことも一度もなかった。
祖父は子供の僕に愛情を注いでくれましたが、僕にとってはそれが暑苦しくて、祖父に対する僕の態度はどちらかというと冷ややかでした。後から知った話ですが、僕の父や叔母は、孫である僕や従兄弟が生まれるまでは、祖父とまともに家族の会話をしたことがなかったそうです。芸術に没頭して子育ては祖母に任せきりだった祖父にとって、仕事が落ち着いてきた時に生まれた孫は愛情を注ぎやすい対象だったのかもしれません。
大人になって父親と映像を使うバレエの舞台で一緒に仕事をするようになってからは、徐々にバレエと接する機会も増えてきて、ヤンヤン・タンなど国際的に活躍するダンサーと間近で接したり、モダンやコンテポラリーダンスなど、クラシックバレエ以外の踊りを鑑賞する機会も増えて、踊りの奥深さや幅の広さを垣間見ることがありました。
ただその時は、全く違う仕事をしながら父と一緒に仕事ができたことを嬉しく思っていましたが、バレエを仕事として捉えるような距離感ではなく、むしろ生まれ育ったバレエ教室が僕の代で失われてしまうことに、うしろ髪を引かれるような感覚が強かったです。両親や生徒さんと立場は違いますが、稽古場で遊んだ楽しい思い出がたくさんあったので、やはり稽古場への愛着はありました。
妻との結婚で関係性に変化
バレエへの距離感が変わったのは、バレリーナである妻との結婚でした。
僕にとっては、いずれ来るはずだった「バレエ教室最期の日」が訪れなくなるかもしれない可能性で、フリーのダンサーだった妻にとっても、いずれ訪れるはずの「バレエダンサーとしてのキャリアの最期」に変化が訪れるきっかけになったと思います。
僕たち夫婦は共にダンサーである両親とは違った形で、お互いの不足を補い合い、僕は経営面で、そして妻は先生として、いずれバレエ教室という場を継いでいくことになります。
ブログはこれまで向き合わなかったバレエと向き合う作業
法人としてバレエ教室の運営をされている方の中には、ご自身がダンサーではない方もいらっしゃいますが、皆さん踊りに対する熱意を持って経営されていると思います。
「たまたまバレエ教室の家に生まれただけ」という理由ではなく、自分ごととしてバレエ教室の運営をしていくなら、もっとバレエのことをよく知り、僕のこれまでの経験がどのように活かせるのかを考えなければ、熱意を持って経営に携わることはできません。
これまで一定の距離を保ってきていたバレエ。しかし間違いなく僕という人間の一部を構成してきたバレエに、僕なりの形で正面から向き合おうと決心して、このブログをはじめました。教室を主導するのはあくまで妻や先生方です。その先生方とコミュニケーションを取るためにも、もっと僕自身がバレエのことを知らなければなりません。
一方で、ただ闇雲にバレエの勉強をしたところで、その知識は付け焼き刃のものなってしまうのは明らかです。もっと身近に、自分ごととしてバレエを捉えるために、これまた家族の中で一定の距離をとっていた祖父の人生に注目することにしました。
戦前にドイツでモダンバレエを学び、戦後にクラシックバレエの教室を営み、息子(=僕の父親)にはモダンではなくクラシックバレエの習得を勧めた祖父。その祖父を理解しようとする試みが、僕にとってバレエを理解する行為と重なるのです。
まとめ
そもそも僕はクラシックバレエを神棚に置いて、拝んでいる人ではないのです。
ですから、バレエに対して疑念や疑問もたくさん持っています。もしかしたら、バレエを知れば知るほど、その疑念も増えていくかもしれません。
その疑念や疑問とも誠意を持って、正面から向き合いたい。僕の立場で改善できるところがあれば、改善したい。それが僕の今の立ち位置であり、祖父への向き合い方でもあります。
きっとバレエを生業にしている人の中からは「何をトンチンカンなことを考えているのだ」と思うような言動もあるかもしれません。それでも、こうやってブログや音声配信を送り続ければ、どこかで面白がってくれる人に届くのではないか、その輪を広げるために、今日もラブコールを送り続けています。
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