二胡という楽器をご存知でしょうか?もともとは中国の伝統楽器で、2本の弦の間に挟んだ弓で演奏する弦楽器なのですが、その音色は美しくも儚く、異国情緒溢れる世界観に僕達を誘ってくれます。
日本では数少ないプロの二胡奏者と歌い手のユニット、アカラと、僕の高校時代の友人の舞踊家、小泉憲央が共演する舞台が、新宿にある老舗人形劇場のプーク人形劇場で11月25日と26日にあります。
アカラは二胡奏者であり、歌い手でももある中川えりかさんと、二胡演奏家であり作曲家でもあるこたにじゅんさんのお二人による日本で数少ないプロの二胡演奏家のユニットです。えりかさんの美しくも力強い唄声とじゅんさんの繊細で感情豊かな二胡のアンサンブルは、聴く人の魂を現代社会からどこか遠くへと誘ってくれます。
小泉憲央はスタジオアルマの主催として僕のブログでも何度も登場しているのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の演目「きらいなうた」は小泉がスタジオアルマを結成する前、2016年にアカラの同名タイトルの曲に小泉自身が振り付けを行なって発表した作品です。
今回はプーク人形劇場が主催する平和企画のひとつとして「きらいなうた」を上演するのですが、この作品が発表された2016年よりも、現在の世界はもっと身近に戦争が起きていますよね。
「戦争反対!」「平和がイチバン」
それはもちろんそうなのですが、ウクライナとロシアや、イスラエルとガザで起きている現実を目の当たりにすると、こういった言葉が非常に薄っぺらく感じられてしまいます。
もし、あなたの家に強盗が押し入って来たら、あなたは家族を守るためにどうしますか?
戦場に立った兵士は、残された人は、どんな気持ちだったのでしょうか?
僕たちは連日報道される戦争のニュースを見て「分かったつもり」になっているかもしれませんが、殺す気持ちも、殺される気持ちも、当事者の気持ちになることなんて、当たり前ですが不可能です。
では、戦争当事者以外は戦争のことを語ってはいけないのでしょうか?当事者には当事者しか話せないことがあるように、外側の人間には外側の人間しか話せないことがあるはずです。そうでなければ、死んでいった人のことは誰が話せるのでしょうか?
「きらいなうた」は、戦争を知らない世代が、戦争に思いを馳せ、唄い、踊る作品です。
以下、中川えりかさんが作詞した「きらいなうた」の冒頭の歌詞を一部掲載します。
戦へ向かうお父さん、 泥を浴びて手に入れたものが、沁みるように 揺さぶるように あなたのきらいな歌をうたう。 鉄砲にぎるお兄さん、 あたしと寝た日を忘れないで。 ごめん、ごめん、、と震えるその胸、 撃ち抜く前に思い出して。 アカラ「きらいなうた」より
まとめ
芸術のひとつの効果は、たとえお伽話であっても、観る人が作品の世界に触れることで、登場人物の痛みや喜びを体感できることだと思います。
これは2018年にティアラこうとうで上演された「きらいなうた」の映像。
目の前でアカラの演奏を聴き、生の人間が踊り、倒れる姿を観るのは、映像を通して見るのとは全く違った没入感があります。
ぜひ、この機会に劇場に足をお運びいただき、戦争で死んでいった人たちや残された人たちに思いを寄せていただければと思います。
プーク人形劇場主催の「2023平和企画 〜紡ぐ〜」は11月25日(土)、26日(日)に開催されます。
オンライン予約もしているようなので、興味をお持ちの方はこちらから。
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