いよいよみなさんお待ちかねの(?)バレエの歴史シリーズを再開します!
今月から20世紀初頭のバレエを「空前絶後のバレエ団」と呼ばれたバレエ・リュスを中心にご紹介していきます。20世紀に入ると、バレエも多様化して情報量もかなり増えてくるので、なるべく一駅の移動時間で読める量に細分化してお届けしようと思います。
まずは、20世紀初頭の世界がどのようになっているかを見ていきましょう。すでに過去記事で第一次世界大戦の終戦から1930年代前後の状況はご紹介しているので、ここでは1930年代より前の状況を過去記事と接続させるような形でご紹介します。
《歴史》 -第一次世界大戦とロシア革命-
20世紀は全世界を巻き込む初の世界大戦を2度経験します。
一度目の世界大戦は1914年に勃発します。帝国主義の進展によって欧米列強や日本は自国以外の植民地で対立を深め、周囲をヨーロッパ、ロシア、オスマン帝国に挟まれているバルカン半島での争いをきっかけに、アジア・アフリカを巻き込む世界大戦に発展します。1918年に終戦を迎え、死者数は約1600万人と推計されます。
もう一つの大きな出来事として、フランスでバレエが凋落した後、そのDNAを受け継ぎクラシック・バレエを開花させたロシアで「ロシア革命」が起こります。1917年、2度にわたる革命の結果、ロマノフ王朝は崩壊、レーニン率いるボルシェヴィキ*が臨時政府を打倒して1922年、ソビエト連邦を樹立します。
皮肉にもフランス革命によって打倒されたブルボン王朝と似たような状況が100年後のロシア帝国でも起きたんだ。
この結果、バレエ・リュスのメンバーの多くが海外に逃れ、今日まで続く各国のバレエの発展に寄与しました。
*ロシア社会民主労働党から分裂して形成された、ウラジーミル・レーニンが率いた左派の一派。
《文化》-応用化学の発展-
発明王トーマス・エジソンに代表される応用科学の発展は、自動車、飛行機、戦車、潜水艦から果ては原子爆弾まで、その多くが戦争に活用されます。
一方で、ペニシリン(抗生物質)の発明は感染症から多くの人命を救い、通信メディアではラジオ放送や映画産業が興隆します。
工業化の進展によって一部の産業は富と権力を蓄積し、労働者は低賃金で働かされて社会的な不均衡が生まれます。
《芸術》-モダニズムの流行-
20世紀前半は「モダニズム」の時代です。表現主義、キュビズム、ダダイズム、シュルレアリスムなど、さまざまな芸術運動が並行して流行します。
ひとつひとつの意味は分からなくても大丈夫。なんとなく「抽象的な芸術が流行っていた」くらいで覚えてくれれば、いずれ詳しくブログで紹介するよ。
そしてこのモダニズムの流行が踊りにも影響して、モダンダンスやバレエ・リュスが生まれます。
《モダンダンス》の出現
バレエとは異なる芸術舞踊としてモダンダンスは、アメリカとドイツで始まります。
モダンダンスの草創期を築いた人物として、ロイ・フラー、イサドラ・ダンカン、マリー・ウィグマン、マーサ・グラハムの4名があげられます。今回は過去記事で紹介していないロイ・フラーについてご紹介します。
ロイ・フラーは1862年、アメリカの芸人一家の子として生まれ、ニューヨークのカジノで身長より遥かに長いシルクのドレスを着て即興のダンスを踊って有名になります。1900年のパリ万博ではフラー一座の小劇場が建設されるほどの人気で、エジソンや映画の発明者リュミエール兄弟によって彼女の踊りは撮影されています。
なので僕みたいな映像畑の人がロイ・フラーの映像を観ると、「ああ、映画の歴史に出てきたあの人ね!」となる。
また、イサドラ・ダンカンもこのフラー一座に加わってドイツ巡業に同行し、オーストリア、ハンガリーで話題を集め、1904年にはロシアに赴き、後のバレエ・リュスの振付家となるミハイル・フォーキンに影響を与えます。
まとめ
20世紀初頭の世界の状況はご理解いただけましたでしょうか?
このような時代を背景にして、1909年、「空前絶後のバレエ団」バレエ・リュスが誕生します。
次回からバレエ・リュスの詳しい紹介をしていきますので、乞うご期待!
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